セオリーを無視するな(キーパー編)
ジーコ・ジャパンのスタッフ、世界一のキーパー・コーチのカンタレリー。
現役時代は70年代後半から80年代のフラメンゴの黄金期を支えた名キーパー。現役引退後コーチとしてその天賦の才能を開花させる。
「自分の時代はキーパー・コーチという存在がなかった為に全てを自らで工夫しなければならなかった。その分実践に促した知識、練習方法が豊富になったので後進の指導に役立てようと考えたんだ」
その言葉通り彼のトレーニングはバリエーションが無尽蔵で選手を飽きさせない。
ただでさえ厳しいキーパー練習は次のメニューが知れてしまっていると、どうしても精神的にキツくなるらしい。「あぁ、あのキッツイやつか〜」・・・という具合に。
ところがカンタ(カンタレリーの愛称)の練習は、毎回パターンが違う上にそのテンポが選手に余計な事を考えるスキを与えない。(これは全く選手に休憩を与えないという意味ではない。お間違えのないように!)
練習内容が全て試合中に起こり得る状況を中心に考えられている為に、キツクても選手が納得してしまうのである。
カンタはしばしぱ言っていた。
「選手側から見て意味のない(ゲームで起こり得ない)練習ほど嫌になるものはない。それは無能なコーチの自己満足でしかないよ。悲しいかなその種のコーチが世界的に多すぎる。」
カンタとJリーグの視察によく一緒に行った。ある時・・・ほぼゴール正面からのフリーキックの場面で、守備側の壁の位置とキーパーのポジションがしきりに気になったらしく、
「なんでキーパーが壁の真後ろに立つんだ?あれじゃ早いボールが端に来たら絶対に無理だろう?」
オレとしては外人は体もデカイし身体能力も高いんだろうから、あれはあれでポジションは正解だと思ってた。
日本では普通だし・・・。
しかしカンタは
「セオリーを無視してるよ!特にいまどきのボールは軽いし変化つけやすいから、早く鋭い球が来る。しかもキッカーの能力も高い。ブラジルではどっちかをキーパーサイドと決めてそこに決められたら、それはキーパーの責任だ。でも壁を越されてのゴールはキッカーのメリットと考える。それがセオリーだぞ。」
セオリーという言葉をブラジル人から聞くとは思ってもみなかった。
「じゃ、壁越されたら何もせず諦めるんですか?」
「ノン、ノン、ノン!! その為に練習があるんだろうが!
まず基本はキックされた後、後だぞっ!絶対に予測して飛ぶな!
で、出来る限りのパワーで身体を目一杯伸ばしてボールに対して飛ぶんだ。
だから下半身を鍛えてジャンプの距離、早さを進化させる」
なるほどセオリーはセオリーで尊重し、日々の練習で自分の身体能力を上げていくということですね。一般にブラジルというとその技術と身体能力だけで勝負していると思いがちですが、決してそうではないのですねー。深い!
じゃまた


















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